第二章 希望

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……話を聞き終え、動画を見せてもらった瞬間に「最っっ低!!」と罵った後、直ぐに笑顔で「でもだったらチャンスじゃないの!」と乃愛は答える。 「え?」 「今だったら不倫相手の顔写真が取れるじゃないの!その動画じゃ顔も写ってないし、写真撮るなら今がチャンスよ! なにか大事な忘れ物をしたとか事情を伝えて、一旦早く帰るって伝えれば、相手だって速攻で帰るからその時にシャッターチャンスが狙えるわ。 マンションの入口近くで私が撮影すれば良いかも。 だって顔バレしても関係無いもの。」 (…そうだ……そうすれば……。) 「……でも協力してくれるの?」 「勿論!私達は今、同じ問題を抱える者同士って感じね。」 「え?……その通りね。」 「桜木さんは子供いる?」 「ええ、4歳で翼って名前なの。」 「翼君か…。良い名前ね。 私も5歳で乃恵留っていうの。 クリスマスに生まれたから。」 「素敵な名前…。」 「子供のこともあるから、別れるか別れないかはさておき、不倫相手の事を把握して、あっちに不利な状況を作らないといけないと思うから。 桜木…いや、笠原さん。 改めて、今日だけじゃなく、今後とも私と協力していかない?」 「協力…。」 さっきまでぼーとブランコに座って何も考えられない状態だったのに、今は一人じゃない…。 「……私で良ければ、宜しくお願いします。」と言ってお辞儀をすると、乃愛は「ありがとう!嬉しい!」と言って、抱きしめてきた。 ちょっと戸惑うけど……でも嬉しい……凄く嬉しい! 「良かった…。 私一人だけじゃどうしようと思っていたの。」 「…私も…。」 心強い味方が増えた!
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