第一章 絶望

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電話の相手は実家にいる父からであり、母が急遽体調を崩して入院したとの事だった。 病院名を聞くと連絡を終了する。 翼と一緒に実家へ戻る事になり、隼也には泊まる事を伝えた。 「分かった。今日俺も残業だし、こっちの事は心配しなくていいから。 行けなくて申し訳ないが、お義母さんの事はお大事にって伝えといてくれ。」との事で、ありがとうと伝えてから翼と一緒に実家へ向かう。 実家に帰ると翼の姿を見た父は大喜び。 翼を抱っこしながらも、母が逆流性食道炎で手術後に二、三日程入院する事となったと聞く。 入院先に荷物を送り届けた時に母に会い、元気そうな様子に安心した。 「もうびっくりしたわよ。 お父さんが慌てて電話してきたから飛んできたわよ。」 「ごめんなさいね。 もうお父さんったら相変わらずの心配性だったから仕方ないけどね。 でもありがとね。来てくれて。」 「一先ず安心したからいいわ。」 その後に談話してから実家に帰ろうとしたが、その時に翼の重要な書類がまだだと気づいてしまったので、書類の為に自宅マンションへ戻ろうとした。 夕暮れ頃に車で自宅に着き、ドアを開けた瞬間に思考が停止する。 何故なら私も持っていないピンヒールが置いてあったからだ。 その時に女の喘ぎ声が聞こえ、更に頭の思考が停止した。 (……誰かいるの?……女性の声……。) 足音を立てずに歩いていくと歩いていく度に社会人っぽい衣服が脱ぎ散らかれた状態で、半分扉が開かれた状態の寝室へ覗くと、無我夢中で隼也と女性が裸で抱き合っていた事に衝撃を受けた。
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