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月夜さんはわたしと同じくこの世界は三度目らしい。と言うかわたしがこの世界にやって来るとまるでオマケみたいに月夜さんがもれなくついてくる。
月夜さんの見かけはイケメンだ。そう見かけはね。スッと通った鼻筋が横から見ても正面から見ても美しい。
だけど、ちょっと残念さんなのだ。
「おっ、にゃんこもいたのか。今日も可愛いな~」
月夜さんはわたしの足元にいるにゃんこに目を細め声をかけた。
すると、にゃんこは地面に尻尾を叩きつけるようにブンブン振る。
「おっ、にゃんここんにちはの挨拶をしてくれているのかい?」
月夜さんはデレデレ顔でにゃんこをじっと見る。
だけど、にゃんこは尻尾をさらに激しくブンブン振る。
「おっと、にゃんこめちゃくちゃ喜んでくれているんだね?」
月夜さんは懲りない男だ。顔をふにゃふにゃと緩めにゃんこの顔を見て甘ったるい声を出すけれど、にゃんこはシャーッ! と威嚇するように鳴いた。
「に、にゃんこどうしたんだよ。そんな怖い顔して鳴くなんて照れているのかい?」
なんてことを毎回言うのだ。
「照れているわけないでしょう。月夜さんはにゃんこに嫌われているんですよ」
「えっ? そんな馬鹿な……」
月夜さんはにゃんこのシャーッに青ざめながら言った。
「その台詞も三度目ですから」
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