船を降りると幼女な神様パープルが住む異世界でした

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 月夜さんは雑巾を手に小屋の掃除に行った。騒がしい奴が立ち去ったとほっとする。  わたしとにゃんこは仲良く庭掃除に励んだ。空を見上げるとどこまでも青く澄み渡っている。  綺麗な空に涙が出そうになる。  この世界が異世界だなんてなんだか不思議だな。だって、空の色は地球と同じなのだから。 「にゃんこ(きみ)と一緒で良かったよ」  わたしはしゃがみ込みにゃんこの頭を撫でる。ふわふわ柔らかくて艶々で心地よい。  にゃんこはスコティッシュフォールドの三毛で地球に住んでいた時から一緒にいるわたしの大切な猫だ。  にゃんこは気持ち良さそうに撫でられている。このままずっとにゃんこともふもふタイムをしてゆっくりしたいな。  そう思いにゃんこに顔を埋めようとしたその時、 「お~い、僕のお菓子買いに行ってくれた~」  顔を上げるとイエローが丸みのあるマッシュヘアを揺らしこちらに向かって来ている姿が視界に入った。うげげっ、せっかくのもふもふタイムが台無しだ。  イエローはわたしの目の前までやって来て立ち止まり「ねえ、夢葉ちゃん僕のお菓子は?」と言って小さな手を差し出した。
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