サッカーの試合、観に行きませんか?

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サッカーの試合、観に行きませんか?

「美咲さん、サッカーの試合、観に行きませんか?」 会社の昼休み、同僚の女性……芦沢真純から声をかけられた。 「サッカー?」 「うん。J3なんだけれど……あ、J3ってわかる?カテゴリーがあって…」 私も、カテゴリーくらいはわかるけれど、どうしてもテレビなどで観る、華やかなJ1クラブチームの印象が強くて、J3といわれても、ピンとこなかったのは正直なところだ。 「自分が応援しているチームなんだけれどね」 と、真純が説明をしてくれる。 「私が暮らしている街に、J3で試合しているチームがあってね、応援しているんだけれどさ」 「サッカー……ねぇ……」 と、私はコーヒーカップを手にしたまま、ちょっと躊躇う。  サポーターと呼ばれる人たちの過激な部分とか……そういう面ばかりが頭の中に浮かんできてしまったからだ。最近も、某チームの一部の過激なサポーターたちが起こした騒動、あったよね。どうも、そのイメージが強くて……という私の考えを、真純はわかったみたい。ニコッと笑って、 「行けばわかりますよ~。それに、試合を観に行くっていうの、楽しみはそれだけじゃないんです」 と、言った。 「試合だけじゃないって、どういうこと?」 「うふふふ……」  そんなわけで……  今、私は週末の私鉄の駅で、真純を待っているわけだ。  最近は、地域密着型のプロ野球チームやプロサッカーチーム……ほかにも、フットサル、バレーボール、バスケットボールなど、プロスポーツチームが全国各地に誕生している。  そんな中でも、特にプロサッカーというのはJ1、J2、J3……というカテゴリーがあって、かなり盛り上がっているらしい。  真純からのお誘いを受けてから、私もちょっとだけ調べてみたんだけれど……いろんなチームがあるんだねぇ。 「美咲さーん!」 と、声がしたので顔を上げると、鮮やかなカラーのユニフォームを着た真純が改札口から走ってくるのが見えた。 「ごめんなさい!待ちました?」 「ううん、私もさっき、着いたから。それにしても……」 と、周りを見ると、真純と同じユニフォームを着た人たちがちらほらといる。 「今日は、アウェイチームは愛媛県から来ています。だから、ほら、違うチームのユニを着ている人もいるでしょ?みなさん、チームのみんなと一緒に遠征してくるんですよ」 「へえええええ!」 ふたりで話しをしながら、バス乗り場へと歩く。  この駅から公共交通機関を使ってスタジアムまで行くというのが恒例。野球のスタジアムのように、街なかにあるものではなく、基本的には郊外にあることも多いらしい。  やってきた路線バスに乗ると、次々に人が乗ってくる。ほぼ、みんなが同じ場所へ向かうであろう人たちが。 「ここから20分弱、かかるんですけれどね。広くて気持ちいいところですよ」 となりに座った真純はとても嬉しそうに私に話してくる。彼女は、いつも元気で、誰とでも仲良くなれるタイプ。仕事も器用にこなす。 「私、ライブ観戦……スポーツ観戦ってあんまりしたことがないけれど……」 「だーいじょうぶですって。美咲さん、なんでも遠慮しちゃダメです。今日は、私がアテンダント、しますよ」 ホント、楽しそうに、嬉しそうに笑う真純に、私も思わず笑顔になった。  そうだよな、今日は彼女と一緒に、どんなものか観てみるのが一番だ。    路線バスは、住宅街を走る。  やがて、その住宅街も抜けて、工場団地の中を走る。  この先にスタジアムなんて、あるのかしら……
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