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その頃、「食堂」では。
「おい、牛田!俺のトンカツの衣、とるんじゃねぇ!!」
「だって、お前が先に俺のわかめとったんじゃないか!!」
残飯をめぐり、絶賛喧嘩中であった。
「牛田のバカ!」
「亀田のアホ!」
そう言ってから、二人はびくりとして、黙った。
「お、おい、ホモ03……、おr…ホモ02、なんて言った?」
ホモ02こと、亀田が震える声でホモ03こと牛田に言った。
二人とも、コードナンバーを放棄して喧嘩をしていた。
これは間違いなく卵の嵐コースだ。
二人は身を固くした。
しかし、神田と金田の時と同様、警官が現れる気配は一切無かった。
「あれ……?」
牛田が辺りを見渡して、怪訝な顔をした。
ホモの直感で、何かを感じ取った亀田と牛田。
気まずい沈黙。
この嫌に静かな空気のせいで、喧嘩する気力も失われた二人。
二人は顔を見合わせ、静かに残飯吸引作業に戻った。
ズルズル、ペチャペチャ。
ズルズル、くちゃくちゃ、ペチャペチャ。
いつもは吐きそうな顔で待機する警官の気配は、感じられなかった。
「「「「…………静かだな」」」」
4人のホモたちは示し合わせたわけでもなく、そうつぶやいた。
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