警官と相棒

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「くっ…どこまでも肝のすわっている奴だなぁ…お前は。」 「いえ、それほどでも。」 「褒めてないよ?」 「はい、ぼちぼち。」 喧嘩を売っているとしか思えない警官の行動に署長は呆れてものも言えない。 「まぁ、いい。お前は昔から変に長い前置きを嫌っていたな。本題に入ろう。」 署長が椅子に座り直した 「もう一度聞く、最近はどうだ?」 「はい、ぼt…」 「最近のホモの様子はどうだって聞いているんだ!」 警官は直立不動の姿勢をとった。 「最悪です。」 「知っている。」 沈黙。 彼らの会話はなぜかいつも気まずい。 「蟹田 融(かにだ ゆう)」 署長が警官の名前を、静かに言った。 「貴様、ホモ更生事業の一環の、『職場体験』に失敗したそうじゃないか。」 警官…改め、蟹田は眉を顰めた。 「はい、失敗しました。」 署長は蟹田を見て言った。 「まぁ、仕方がないと言えば仕方がない。 あいつらの相手はお前でも難しいのか?」 蟹田は静かに頷いた。 「はい、あれの世話は私でも大変難しいです。」 署長の顔に微妙に嘲笑が浮かんだ。 「そうか、お前は適任だと思ったんだがなぁ。 お前が1番あいつらのことを分かってあげられるだろう?」 「…………。」 変な空気が流れる。 真顔の蟹田と嘲笑を浮かべる署長。 バチバチと火花の散り、交差する視線から目を離したのは、署長の方だった。
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