警官と相棒

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「貝田くんと上手くやるんだぞ。」 署長の言葉を背中で聞きながら、蟹田と貝田は署長室を出た。 しばらく無言で歩く二人。 先に沈黙を破ったのは貝田の方だった。 「あのぅ…。蟹田……先輩?よ、よろしくお願いします!」 「おぅ。」 蟹田の欠点は、会話をすぐに気まずくしてしまうことだった。 それを自覚しながらも蟹田はいまだにこの癖を治せない。 「えっと、、あの!網走の方達は本当にホm……ゲイの方々なんですよね?」 「そうだが。」 「イケメンですかっ!?」 「あぁ。多分。……顔はな…。」 「そうですか」 「そうです」 沈黙。 コミュ障の蟹田のせいで気まずい空間が毎回生まれてしまう。 それを蟹田は痛いほど感じていた。 誠に申し訳ないと思いながらも会話を続ける方法がわからず…。 蟹田は言葉を絞り出した。 「………ホモ達がやらかしたら………天ぷらにする……」 「は??」 貝田の顔に大きな疑問符が浮かぶ。 「油と卵と小麦粉で…天ぷら状態だ。毎日残飯を吸引させ…たまに洗面器を投げつけ…食器用洗剤で風呂だ…。」 「え………???」 貝田の頭に疑問符が増える。 蟹田はこれでも網走でのデイミッションを説明しているつもりなのだ。 「で………不純同性(・・)交遊は禁止だ…」 「へ????」 貝田は要領を得ない警官の説明を全神経を集中させてなんとか解読していった。
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