2-02 シュウの思い

6/7
前へ
/70ページ
次へ
 それに、その龍蛇(りゅうだ)。化生たち。 「ねえカンナ。こいつら、成長しているんじゃあないの」  二人だけになった時、シュウはその疑問をぶつけてみた。  そうなの?と、始めは呑気者だったカンナ。 「二年前とか、思い出してみなさいよ。これだけ大きなものがいたかしら」 「確かに …… ミナコの言った感じ方にしては苦戦したかな、とは思う」 「これはまずいわ」  シュウの言葉通りであった。  彼らは本格的な防御網を形成していない。神社に能力者のコミュニティを作りつつ、しかしどこか馴れ合いじみてやってこられたのは、山林から発生する化生を必ず撃退できる、という余裕があったからだ。それだけシュウたちの力が強かった。二年半前のその時は。  しかし、である。  シュウはここ一年の内に、どうも化生が強力になっているのではないか、という疑いを抱くようになった。始めは気の迷いとも思ったろう。しかし、次第に迷いは疑いへ。  そして、今回のミコの件。  化生とミコとはつながらない。しかしながら、ミコが巨大な化生を倒したという出来事が、化生に対するシュウの疑問を確信へとスイッチさせた。  本来つながりを持たない、偶然同士のつながり。その、偶然同士の連鎖反応。
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加