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2-03 鈴之木会議
「正直、私にはよくわからないのだけど …… シュウの実感なら、その通りなんだと思うよ」
そう言いながら、スマホを注視する長身の女性。指でささっと画面を流すその様子を、苫己シュウはコーヒーカップを手にしたままに見入っていた。
「だってシュウ。私、ここに半年しかいないんですもの」
くすりとした女性。黒いニットの下からは、青いストライプのワンピースが覗いている。
にこやかな彼女の顔は、シュウでさえも「ずるいわ」と思わせるものであった。かつて三坂ミズキが「あの人は別の星に生まれたのよ」と評した、鼻筋の通った細身の顔立ち。「あるいは、私たちが理不尽のもとに生まれたんですわ」
瀬戸家スイ。
この春に都会からやってきた、十九歳の大学生。シュウたち仲間の一人だが、彼女の言う通り半年前からと日が浅く、伏田白神社にもあまり寄り付かないでいた。仲が悪いわけではない。ふらふらと、あちこち遊びたがっているのだ。
この人は光り輝いているのね
それが、シュウから見ての印象であった。
その美しさ。ただ光を受けるのではなく、自ら放ち、きらめいている。それはさながら宝石のよう。名前通りの、翠の輝き。
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