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「カンナ先輩、ちゃあんと勉強を見てちょうだい」
勉強するにも気分を変えてみたら、と持ちかけたのは、実のところカンナの方である。これでもシュウとは幼馴染のつもりだ。彼女の醜態を、ただ自分一人の見世物として楽しみたいわけではない。
しかし、である。カンナとて、勉強好きとは縁遠い人間であったのだ。
「ごめん。忘れちゃった」
「無責任!」
と、その時であった。「あの ……」と、シュウの隣から呼びかけてくるものがある。その姿とは、シュウ等と同年代であろう。一人の少女だった。
途端に、身の回りの喧騒がシュウの耳へと入り始めた。
「ああ、ごめんなさい。うるさかったでしょう」
ちょっと騒ぎ過ぎたのね
ようやくシュウに自覚が生じただろう。しかし、少女にとっては、そのことではなかったらしい。
「ここの式、代数を見落として答えにしているから ……」
返事もせずに身を乗り出した少女は、シュウのノートと教科書を交互にペンで差しながら、ゆっくりと説明を開始した。
「初歩的な間違いですけれど、ついやっちゃいますよね」
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