2-01 空色と出会った日

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 その、少女の横顔。  涼しそうだな、とシュウは思った。  夏の最中(さなか)にあって、さらりとそよぐ空色のような髪。シュウよりも若干短いだろう。しかし、だからこそ少女の挙動に応じて、微妙な色合いの変化を生ずるように感じられたのだ。  再び「あの ……」と、シュウを確認するように見つめる少女。  黒く静かな、奥まった瞳。 「よかったらですけれど、勉強、見ましょうか?」  シュウは一瞬、呑まれた。気がした。 「あ、ああ。でも悪いわ。あなただって、勉強しているんでしょう」 「いいんです。私は …… できますから」  その言葉に、嫌味といった色合いは感じ取れない。シュウもまた「できるんだろうな」と印象した。 「だったら、先輩様なんて必要なかったのね」 「うるさいな」  一年と少し前。  その日、苫己(とまき)シュウと大堀(おおほり)ミコは出会った。  出会ったばかりの大堀(おおほり)ミコは、怪異のことも、シュウが戦っているということも、その能力のことも ―― なにもかも知ってはいなかった。きわめて一般的な少女であっただろう。  であるならば、この時のミコとは、ただの人間だったのである。
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