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それでも、まだまだハッカさんって若いわ
シュウがそう感じるのは、単に外見のことではないだろう。一種の朗らかさとか、生命力とでもいったものが、そういう雰囲気を抱かせるのであろうか。
「ハッカさん、午後からでしょう?」
「予約の注文が多くってねぇ、今日は特別に入っているのよ」
トマキの店は、基本的にこの二人で回っている。よほどに忙しい時期はともかくとして、突発的な仕事であれば、このような形でこなしてしまっていた。
「社長、それじゃあ過重労働ですよ?」
シュウが父へと投げかける。
「ちゃあんとお手当はつきますよ。シュウちゃん」
「シュウ、薄野君から入ってくれるって言ったんだよ」
そんな風に、皆が笑顔で交わしているのは、それが馴れ合いと知った上でのやり取りだからである。安心できる空間であるということ。
「ハッカさん。お昼、こっちで食べるでしょう?」
そう言って、シュウは自宅へと引き上げた。
今日はいい日になるだろうな
シュウにとっては、満足げな朝の空気であった。
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