2-02 シュウの思い

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「じゃあ苫己(とまき)さん、そのお姉さんの分もお昼、作っといたんだ」  有咲(ありさき)カエデはそう言いながら、サンドイッチの包みを破りにかかった。 「オタクかと思ったら、主婦だったのねぇ」  なにそれ、と訊くシュウには耳を貸さず、一人感心している。大堀(おおほり)ミコは、はなから取り合う気もなさそうだ。  晴れた昼間の屋外を、最も心地よく感じられるのは、きっとこの時期なのだろう。  シュウたち三人は、グラウンドをいくらか外れた草地にシートを広げ、それぞれの昼食を広げている。  ここは、彼らの通う学校。伏田白(ふたしら)神社近くから始まる貫八木(かんやぎ)川を、西へ西へと流れて行った先にある、八木中央高校だ。  昼時のグラウンドには、遠く人影が映っていた。 「ああ、今日はここにしてよかったわね。ちょうど気持ちいい感じだわ」  シュウの頬を、髪を、秋風が流してゆく。じきに寒気を運んでくる前の、最後の感触である。 「苫己(とまき)さん、大変じゃあないの?毎日お父さんの、朝と昼まで用意しておいて」  私は無理だわ、とカエデがあからさまに顔へ出す。 「そりゃあ、楽ってことはないけれど。そういうものだもの。やらされているわけじゃあない。それにね、どうしても面倒な時は、ご飯の残りだけ確認して、後はツナ缶とかなにかをテーブルに積んでおくの。それで好きなようにやってちょうだい!ってさ」
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