1人が本棚に入れています
本棚に追加
先の戦闘は、もう三日前になろう。
あの夜。新たな化生の反応を感じたシュウが駆けつけると、巨大な龍蛇がばっさりと輪切りになっていた。
その傍らには、ミコ。彼女一人だけ。
「私が倒したの」
そうミコは言った。
ミコにそんな攻撃力はない。それがシュウの認識だった。
大堀ミコは、苫己シュウの力の一部 ―― 要素とでもいったものを移されただけなのだ。
彼女はいつも、小型の化生を相手にしてきた。あるいは周りのサポート。かといって、突如現れた謎の助っ人が倒してくれた、などというものでもあるまい。
そんな、子供の漫画じゃああるまいし
するとミコが倒したのだ、ということになる。それはシュウも認めざるを得なかった。ミコのその、にんまりと自信のにじみ出る表情からも、そうなのだろうと感じさせるものがある。
だったら …… どうして話してくれないの?
そこがシュウの気に入らない。
どうして龍蛇を倒せたのか。肝心な部分は「だって、必死だったんだもの」と。それを言われると、シュウは先を問い詰められなくなってしまうのだ。
どうしてだろう、と彼女自身も思う。かつて高校へ上がって間もなく、クラスの男子すらも平手に打ったという、燃えるような苫己シュウなのに。
最初のコメントを投稿しよう!