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第三十二章 Cランク初級にランクアップ!
戦闘機を覆っていた電光は忽然と消失したが、戦闘機はすでに炎上しており、それでも粘り強く海面すれすれを高速で飛行していた。
間もなく、第十一星殿の基地が遠方の空に姿を現し、巨大な円形建築物の間から、黒煙が絶えず空に向かって立ち上っていた。
戦闘機のコックピットで、警告を発する赤い光が絶えず点滅し、音声警報が流れた。
「戦闘機は深刻な損傷を受けており、三十秒後に爆発します。すぐに脱出してください!」
剣一はすぐに手はずを整えた。
「炎の君、俺がハッチを開けたら、氷織とチビ狐を連れて先に降りてください。お願いします」
紅丸は氷織の胸元から頭をのぞかせ、頑固そうな表情で「俺は紅丸だぞ!」と言わんばかりにギャンギャンわめいた。
剣一は振り向き紅丸に微笑んだ。狐の言葉はわからなかったが、それでもその眼差しは温かかった。
炎の君の目は剣一に対する信頼で溢れていた。彼は「自分自身を大切に」と言うだけで、剣一の決断を疑問視することはなかった。
剣一は炎の君をしっかりと見つめ、「安心してください!」と何度もうなずいた。
炎の君は火龍に姿を変え、後部座席の氷織と紅丸を包み込むとビューッと去って行った。
氷織の泣きながら罵る声が戦闘機の外から聞こえてきた。
「剣一のバカ、生きて私に会いに来なさいよ!」
獣龍の手綱を操るロナとリリア、そして散り散りになった天地を覆い尽くすほどのコウモリ型異星獣が後方から追って来た。黒山のような一面の大群には、危険な気配が満ちていた。
出火した戦闘機は突然前進をやめ、機首の向きを変え、ロナやリリアと真正面で向かい合った。
リリアが眉をひそめ困惑した様子で言った。
「あいつらは何を企んでるの?」
コックピットで、剣一は戦闘機を操縦しながら叫んだ。
「突撃!」
出火した戦闘機がロナたちに向かって突っ込んだ。
リリアは見下すように冷笑した。
「最後のあがきだ!」
二人が手に握った手綱を勢いよく引き締めると、二匹の獣龍は同時に太い前足を上げ戦闘機に叩き付けようとした。しかし戦闘機は急上昇し、ロナたちの背後にいるコウモリ型異星獣の大群にいきなり突っ込み、そのまま高空の群れの中で爆発した。
ドカン!
空に立ち上る炎と爆発の光の中、コウモリ型異星獣の大群は吹き飛ばされて粉々になった。異星獣たちは体を炎に包まれながら、雨粒のように空から降り注いだ。
リリアは顔を上げてそれを見ると、歯(は)軋(ぎし)りして憤り「忌々しい!」と罵った。
剣一は上空から降下すると、素早く拳を振り上げ、リリアに叩き付けた。
「今度はお前の番だ!」
リリアは顔を上げて冷笑した。
「Dランクの虫けらごときが!身のほど知らずめ!」
ほど近い所で、火龍が口を開けて咆(ほう)吼(こう)しながら、空中で獣龍を御しているロナ目がけて突っ込むと、その口から炎に包まれた花(はな)蘇(ず)芳(おう)の剣が「ビュッ」と飛び出した。
火龍が大声で言った。
「受け取れ、剣一!これは前回爆発で破壊された剣の残骸を、烈火で鍛え直して作った花(はな)蘇(ず)芳(おう)の剣だ!まだ完成形ではないが、私の『王者の怒り』は発動可能だ!」
剣一は急降下し、手を伸ばして炎に包まれた花(はな)蘇(ず)芳(おう)の剣を受け取り、この上なく狂喜し、思った。
「炎の君は金(きん)滋(じ)が破壊した剣の残骸を回収していたんだな」
花(はな)蘇(ず)芳(おう)の剣の属性パネル
【レベル】Cランク
【種類】炎の剣
【効果】攻撃効果+15%、炎と植物毒の属性を持ち、麻痺・燃焼の効果をもたらす
【スキル】王者の怒り、Bランク上級覚醒者の全力攻撃に相当
【説明】最高SSランクまでランクアップ可能
無敵の兵器を手にし、剣一の実力は倍増した。彼は火炎花(はな)蘇(ず)芳(おう)の剣を振り上げ、勢いよくリリアに斬りかかった。
それと同時に剣一は叫んだ。
「王者の怒り!」
リリアは驚きの余り顔が青くなり、慌てて獣龍から飛び降りた。
剣一は手に持った火炎花(はな)蘇(ず)芳(おう)の剣を振り下ろし、獣龍の頭の半分を粉砕した。
システムの通知ポップアップウィンドウ:Cランク上級の獣龍を倒すことに成功しました。獣龍の皮10枚、割り振り可能な属性ポイントを160ポイント、特別ボーナスを80ポイント獲得しました。
システムは続けて通知を表示した:おめでとうございます、Cランク初級にランクアップしました!
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