Ⅱロウの章【求愛】

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だが、思いがけない事態が起こり、ロウは死んでいる場合ではなくなった。 ユイが撃たれた。 人間たちの後始末はヴィルとシュンに任せ、ロウはユイを抱いて人狼の森の奥にある洞窟の居城に急いだ。 撃たれれば、人狼であっても死の危険がある。 まして、ユイは人間だ。簡単に死んでしまう。 「ユイ、…―――っ」 だが、一つだけユイをこの世に繋ぎ止める方法がある。 人狼の唾液には浄化作用があるが、白き人狼は特に人間に対する治癒効果が高い。ロウの体液は、人間の細胞を再生させることが出来る。 弾丸は、心臓をわずかに逸れてはいたが、ユイの身体を貫通している。再生させるには唾液では足りない。中に注ぐしかないだろう。ロウはユイの傷口をしっかりと塞ぎながら、ユイの身体をそっと開いた。 口移しに薬湯を注ぎ、手のひらと指先と長い舌でユイの身体を隅々までたどる。ユイはほとんど意識がないが、出来得る限りユイを高めてやりたい。あの人間の男とは手しか触れていないはずだから、多分、ユイは経験がない。固く閉じられたユイの中に無理やりねじ込めば、少なからず苦痛を伴うだろう。その前にユイの全身を辿れば唾液の鎮静催淫作用で少しは傷の痛みも和らぐはずだ。 『…だいすき』 あの人間の男のことだろうか。 地面に倒れ込む寸前でロウがユイを抱き止めた時、ロウの腕の中でユイがそうつぶやいた。 恨まれるんだろうな。 無意識ながら、ロウの舌先に可愛く反応するユイを、撫でて舐めてねぶって。尖らせ、張りつめさせ、柔らかく潤わせて、弾けさせる。敏感なユイの身体はロウにしとやかに馴染んで、何度も昇り詰めて恍惚に溢れる。 甘いため息を漏らすユイの口を塞ぎ、舌を絡ませ、喉奥を撫でながら、ロウの手と指と舌先で少しずつほぐれたユイの中心に固く屹立したものを押し当てる。甘く濡れそぼったユイにそのまま飲み込まれそうになって、ロウは出来るだけゆっくりゆっくり腰を進めた。 「…ん、…ふ、ぁ……――――――…っ」 ねだるようにロウに絡みついてくるユイに、自制心が崩壊しそうになる。優しくゆっくり少しずつ。ユイの最奥まで突き進めると、ロウはひとまず精を解き放った。 細胞を再生させることを考えれば、なるべく早く、注がなければならない。 ユイの最奥に突き入れたまま、自分の精がユイに浸透していくのを感じた。 歓喜が溢れて泣きたくなる。 ユイの望みを無視して強引に行っているのに、恍惚感が凄い。感じたことのない強烈な快感に襲われて、難なく吐精してしまうなんて、野蛮と言われても仕方がない。 ユイの初めてを奪ったのが人間の優男ではなく、野蛮な人狼の兄だと知ったら、絶望されるかもしれない。 それでも、人間にユイは救えない。
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