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「ユイ、…―――」
ユイの奥深くまでねじ込んだまま、ロウがまるで大切なもののようにユイを呼ぶ。
治療なら治療らしく、冷静に淡々と進めてくれたらいいのに、ロウの目も触れる手も温度も柔らかな声音も、堪らなく愛しそうに見えるから勘違いするんだ。
「ロウ、…―――っ」
緩やかに撫でられて、最奥を穿たれて、リズミカルに抜き差しされて、立て続けに湧き起こる爆発的な快感が止まらない。もう何も考えられなくなって、ただただロウに満たされて、気持ち良くて、離れたくなくて、必死でロウにしがみつく。
ロウは全てを受け止めて、強固に身体を繋ぎ合わせたまま、ユイの中に熱い迸りを解き放った。凶暴ともいえる強烈な熱がユイを包み込み、快感の限界値を振り切って、忘我の彼方までユイを吹き飛ばす。
ロウ、ロウ、ロウ、…――――――
ロウしか見えない。ロウしかいらない。
何でも全部あげるから、どうか神様、ロウを下さい。
このままずっと、そばにいさせて。誰よりもロウの一番近くに。
迸りを放ってもロウはまだ固く大きいままで、巧みにユイの中をかき混ぜる。気持ち良すぎて全てをロウに委ねるユイをロウは細やかに受け止めて、優しく絡め取り、甘く突き刺しながら、快感の極みで揺らし続ける。
そしてまた、おかしくなるくらいの快楽の淵にユイを突き落とす。
そんなふうにして、ロウは一度のまぐわいで三回ほどユイに注ぐ。
力尽きたユイが眠りに落ち、緩やかに目覚めると、ロウはすぐそばにいて、ユイに薬湯を飲ませたり、滋養効果の高いものを食べさせたり、身体を清めさせたりして、また眠らせる。白く美しい毛並みでユイを包み、麗しく強靭な身体の全てを使ってユイを癒しながら。
日に三回は、ロウと睦び合う。
ユイの状態がまだ安定しないからだが、朝に昼に夜に、ほとんどずっとロウと繋がって、ロウに注がれている。こんなの、勘違いしても仕方ない。ロウに愛されているように錯覚するのも無理はない。
無理はないけど、本物じゃない。錯覚は錯覚で。
ロウにとってはあくまでも治療行為に過ぎない。
「…だから。いい加減慣れろ」
こんなことを繰り返して、身も心もがんじがらめにロウに囚われて、平静でいられるわけがない。
「…むり」
なんでこんなに上手なの。なんでこんな気持ち良くするの。なんでこんな、…愛しそうに触れるの。
「めちゃくちゃ気持ち良さそうだけどな」
ユイを知り尽くして手慣れたロウは、巧みに焦らしたり急所を責めたり、ことごとくユイを翻弄して楽しそうでさえある。
「ロウのバカ、…」
ユイだけが深みにはまって抜け出せない。
どこまでもロウに落ちていく。
「お前、…」
いやいやを繰り返すユイの口をロウの長い舌が塞ぐ。
「もういいから黙って感じてろ」
ロウに溺れてる。
ロウが好き過ぎて自分が怖い。
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