54人が本棚に入れています
本棚に追加
/46ページ
終章
『俺たちは二人で一つ。一緒にいるのは必然なんだ。だから、これからも一緒に生きていこう、――――――』
夏のまばゆい陽光が灰色人狼の森に茂る緑を色濃く照らし出す頃。
森の奥深くにある洞窟の居城で、人間の娘から白き人狼が生まれた。
彼は白き人狼として類まれなる優れた能力を持ち、次の百年を統べる群れのリーダーとして完璧であったが、誰もそばに寄せつけなかった。
特に満月の夜は。
「クソっ、どうして俺は、…――――――」
獰猛で冷酷無比、極度に人間を嫌う孤独な王。
彼には誰にも明かせない秘密があった。
「あなたは灰色人狼なの?」
「いや、…」
満月の夜、月の光の下では人間に変化するという秘密。
「俺はシロだ」
彼の行く手に待ち受けるのは繁栄か破滅か。
人狼と人間という異種族の二面性を持つ孤独な王は、…―――誰も愛さない。
――――――――――――
→番外編更新します。
最初のコメントを投稿しよう!