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「ユイ様。ロウ様が朝どれ葡萄を置いていかれましたよ」
「ありがとう」
ロウは毎朝一番に葡萄を取ってきてくれる。そして、ロウのせいで身体中の力が抜け切っているユイを抱き上げ、食べさせるのを日課としている。
元々過保護なところがあったけれど、ユイを唯一の相手としてから、輪をかけて甘やかしてくる。自分で出来ると思うけれど、ロウと番った後は身体中甘い痙攣が巡り、ろくに力が入らないので、まあ、有難くはある。
今日は任務でロウが不在なので自分で食べるが。
「ユイ様、何か気がかりなことでもございますの?」
葡萄をつまみながら物憂げなユイに、カルナが声をかける。未だロウを身体中に感じて気だるいという事情もあるが、純粋にロウの様子が気になっているということもある。
「うん。あのね、ロウは責務が多いでしょう。なにかロウの役に立てることないかと思って」
「まあ」「なんと」
ユイの発言はカルナとナツナには意外だったらしく、驚きに目を見開いた。
「お世継ぎを産んで差し上げることがユイ様に課せられた最大の使命であり貢献ではありませんか」
「そうですよ。つまり、その、…夜な夜なロウ様と睦び合うことがロウ様のお望みであり、責務のお助けにもなるのです。濃密であればあるほど」
いや、夜な夜な、とか、…
そんなあからさまに言われると赤面する。濃密とか言わないで欲しい。
ロウがどんな風に密接にユイの中に入り込んで、ありとあらゆる場所を繋ぎ合わせて濃厚に交わり合うか、たちどころに思い出してしまう。
「まあ、それは、…そうかもしれないけど」
赤くなりながらもぐもぐ言っているユイを見て、カルナ、ナツナは顔を見合わせる。
「ユイ様は変わってらっしゃいますのね」
「奥方として多大な寵愛を受けてふんぞり返っていればよろしいのに」
「お世継ぎを産むのはユイ様にしか出来ない崇高な使命ですし」
「きっと対等でありたいと思われているのですね」
対等、…そうなのかもしれない。
口の中で甘やかに溶ける葡萄を噛みしめながら思う。
ロウはユイとの関係を二人で一つだと言った。一対だと。
人と人狼。雄と雌。自ずと役割が異なるのは分かる。でも、両翼として、ロウの責務をユイも担いたいと言う気持ちがある。それは元々双子だからなのかもしれない。
カルナとナツナは意外そうにしていたが、徐に頷き合った。
「それほどのお気持ちを持っていらっしゃるなら、深夜ロウ様の後をつければよろしいではありませんか」
「ロウ様が何をなさっているか分かると思いますわ。お手伝いできることもあるかもしれませんわよ」
なるほど。
よし、今夜は絶対寝ない。寝たふりをしてロウをつける!
と、固く決意したにもかかわらず。
「ユイ。好きだよ」
「…んっ、…や、…っぁ、あ―――…っ」
辺境の地から戻ったロウに刺し貫かれ、がんじがらめに抱きかかえられ、上からも下からも、内側も外側も、全部ロウでいっぱいにされたままじりじりと揺らされて、何度も何度も歓喜の爆発に泣き喘いだユイは、身体の中心に穿たれたロウの昂ぶりに膨大な精を注ぎ込まれ、かき混ぜられ、擦り合わせられるうちに限界を超えて、寝落ちた。
自分の中からするりとロウが引き抜かれるのを感じ、甘い痙攣に身体中わななかせながら重い瞼を無理やり開けた時には、隣にロウはいなかった。
…やられた。
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