呪われた脚

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 その後トバリは部下に、(くだん)の医師の噂を、中央より南側のすべての(むら)で調査するよう命じた。  それをまだ隣にいるユウナギがどのくらいかかるのか尋ねたら、彼は成果の如何(いかん)に関わらず、調査隊が帰ってくるのは早くて3週間後だと話す。 「そんなに……。ねぇ兄様、これは呪いなの」  そんなことを急に言われても、返答に困るトバリだった。  そういえば先ほどもそのようなことを、と彼は思い出した。 「不幸に陥る呪い……聞いた時は不幸、すなわち死だと思ってた。でもこれってきっと心に作用する呪い。使用者の未来を断ち、絶望の淵に(おとしい)れる……やっぱり私のせいよ」 「気を楽にしてください。話がよく見えませんが、何もあなたのせいではない。ナツヒの行動による結果のすべては、彼自身に責任がある。彼はもう大人なのですから」 「でも……調査隊の帰りが早くて3週間。それはあくまで調査。本当に見つかるかも分からないのでしょ。運良く見つかったとしても、それからまたどれだけかかるの? 医師をここまで連れてきて、治療してもらうには」 「そして治るまでには? どれだけ時間がかかったとしても結果治るのであれば、それは最上級の恵みといったところでしょうね」 「それまでずっとナツヒは苦しいままなの? もしかしたら、永久に……」  明らかにユウナギは焦燥感に駆られている。  それを見てトバリは、また彼女が向こう見ずな行動に出るのではないかと危惧した。 「あなたも旅から帰ってきたばかりでお疲れでしょう。ゆっくりお休みください。……また以前のように、こっそりどこかへ行ってしまうようなことは、よもやありませんよね」 「え、えぇ……」  彼は表情も優しい口調も優しい、しかしそれがこういう時は余計に怖い。ユウナギの負けだ。大人しく自室に戻ることにした。
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