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【 第四章 】 あなたを救いたい
第一部の続きから始まります。
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https://estar.jp/novels/26072225
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正気を取り戻したら、ふたりは元の体勢のままだった。
互いに見合っていたが、視界の片隅の色が違う。辺りの匂いも違う。
膝をつき、項垂れた。
「どうしよう……アヅミが……」
ここぞという時に役に立てなくて、打ちひしがれるユウナギだった。
ナツヒは周囲を見渡し、女王の屋敷の敷地内に帰ってきてしまったことを理解した。
もうどうしようもない。
「早く戻って……報告しに行こう」
彼はもう一度ユウナギの手を取り、起き上がるのを支えた。
ユウナギも立ち上がったその時だ。今度はナツヒが尻もちをつく。
「ん?」
「大丈夫?」
「…………」
「ナツヒも疲労が限界だから……」
「いや、まだいけ……」
手をつき立ち上がろうと脚に力を入れた途端、また尻から転げ落ちた。そんな彼はただ呆ける。
「どうしたの!?」
「脚に……力が入らない……」
「ええっ!?」
もう一度、今度はユウナギが立ち上がるのを手伝う。しかしふたり揃って転がってしまった。
「いたた……。わ、私、誰か呼んでくる。すぐ戻ってくるから!」
ユウナギは屋敷に向かって駆け出した。即ずべっと転んだが、なんとか起き上がりよれよれと走っていく。
「おい大丈夫か」
そしてナツヒは、あ――……腹減ったな……と小声で呟き、そのまま仰向けに倒れこんだ。
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