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帰り道
夕暮れの商店街を学校帰りの八重垣真知子(やえがきまちこ)は歩いていた。
商店街と言ってもほとんどシャッターが閉まっており、開いていると言えば肉屋か化粧品店、はんこ屋くらいの古びれたものだが。
かつてはもっと賑わっていて買い物客で溢れていた商店街も、近くに巨大モールが出来てからというものの店がどんどん撤退していき今は見る影もない。
そんな商店街を真っ直ぐ突っ切りながら真知子は下を向いて大きなため息を何度もついた。今日は本当についていない日だったからだ。
大嫌いなネズミに追われる夢を見て、慌てて飛び起きたらいつも起きる時間より40分も遅れていて遅刻が確定。そこから階段を駆け下りたら飾ってあった写真の額縁を落として割ってしまうし、身支度の際手が滑って手鏡も落として割ってしまった。
朝ごはんを抜いて全速力で学校に向かう最中に目の前を黒猫が横切るしで、朝から所謂不吉なことの起こる前触れのオンパレードだったのである。
悪い予感というのは当たるもので、お弁当を家に忘れてきて昼食も抜きになるし、授業では分からない問題に当たってクラスメイトの前で恥をかいた。
それに加えて放課後のバレー部の活動では先輩や同級生から、
「真知子って本当に適当だよね、周りに合わせてハイハイ言っとけばいいとでも思ってんの?自分の意見だってないし中身空っぽね」
「真知子って本当にバレーやりたいと思ってんの?」
なんて言われる始末だ。
真知子は部内でいじめられているわけではない、と思う。しかし、仲間に腫れ物扱いされているのは薄々気づいていた。
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