2人が本棚に入れています
本棚に追加
母が私に発した言葉は、酷く残酷なものだった。
『あなたにも原因があったんじゃないの?』
絶望的な言葉を突き付けてきた。母親は私のことを哀れむような目で見ていた。
母親は哀れな子どもに言葉を投げる。
『あなたはあなたよ。どう生きるかはあなた次第。休みたいなら休めばいい。辞めたいのなら、辞めて少し休憩しよう』
じゃあ――
私が口を開きかけたその時――
『けれど……それで後悔をするのはあなたよ?』
意味が分からなかった。何故、私が後悔することになるのか。自分を地獄に落としたあの場所から抜け出せる。それで後悔などするはずがないでは無いか。
『今の場所から逃げたとして、相手は反省なんかしないだろうし、寧ろ付け上がる。あなたは逃げて楽になれるかもしれない。けど、それじゃあ相手の思う壺じゃない。あなたはそれでいいの?』
逃げる。
今の場所にいたら、心が壊れてしまう。その場所から離れることを、逃げというのか?
私は何も分からなくなっていた。
中学三年生になって初めて、いじめを受けていることを打ち明けた。二年間我慢して、耐えてきたのに。もう限界だから話したのに。そっか……お母さんは私の……敵なんだ。
私は絶望し、親に頼ることをやめた。私は孤独だった。
いじめられるのは、私が原因。いじめられる原因を作った私が悪い。
そっか。あなたも教師たちと同じで、加害者のことを庇うんだね。血の繋がりがある両親でこれなのだ。もう、誰に期待しても無駄なんだ。助けなんてない。わたしは卒業までずっと、この地獄の中で生活しなければならない。
「ああ……地獄そのものだ」
最初のコメントを投稿しよう!