第一章 【探偵?との出会い】

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 私は暗闇の中にいた。  誰もいない。何も無い場所でただ一人彷徨っていた。右も左も分からず、不安と恐怖が私を襲う。ゆっくりと心を蝕んでいった。  果てぬ地獄にいるようだった。  こんな小さな世界でさえ、私は上手くいかない。仲間外れにされて一人ぼっち。 「何でまだ生きているの……か」  私は小さく苦笑した。 「そんなの、私が知りたいよ」  どうしてなのか考えれば考えるほど、死にたいという感情が強くなる。  死にたいと思う気持ちと、耐えないとと思う気持ちが交差する。抗えば抗うほど。今の現状に抵抗すればするほど、ゆっくり……ゆっくりと、私の心は壊されていく。  悪魔が自殺する道に誘惑してくる。  けれど、私は臆病な人間だから、自らその命を絶つ勇気が出ない。  死にたいけれど死ねない。  まさに……地獄そのものだった。  それと同時に、負の念が私を支配しようとしていた。  被害者よりも加害者のことを庇う大人も、詭弁を垂れて良い事を言った感出している母親も、見て見ぬふりをする大人や同級生も、みんなみんな大っ嫌いだ。  皆、壊れていなくなればいいのに。  ただそんな負の念だけが、私の中に残る。それ以外は残らない。だから私は、暗闇の中にいるのだろう。右も左も分からない。誰を信じればいいのかすら、分からなくなってしまったから。  誰も信じられない。  私の周りは敵だらけだ。私の人生を脅かす敵。学校の人たちだけじゃない。近所に住む人たちも、全然違う場所に住んでいる人たちも。全員私の―― 「こんな所でどうしたんだい?」
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