由香里

2/3
前へ
/6ページ
次へ
 だから自分の人生はハッピーエンドで終わると信じていた。これから先、それなりの苦難や困難はあるだろうが、すべて乗り越えて笑って最期を迎えられると思っていた。  辺りには子連れやカップルが溢れている。一人で来ている女など私くらいだった。  ある朝、平日なのにいつもの時間になっても起きてこなかった。昨日の夜、ずっとゲームをしていたから、まだ寝ているのだと思って起こしに行った。  声をかけても反応が無かった。揺さぶっても目を開けなかった。いつもどおりの寝顔だった。肌が冷たくなっていること以外は。  聞いたことがない病名だった。ネットで調べても詳しいことはわからなかった。だから、どうすればよかったのか、わからなかった。  そこから先のことはよく覚えていない。心が張り裂けそうな日々だったはずなのに、思い出せない。泣いてばかりだった気もするし、泣いている暇などなかったような気もする。とにかく、何とか生きてきたとしか言いようがなかった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加