移動式神社の巫女

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 そう。だから週末だけは、絶対に一緒に過ごした。普段会えない分の帳尻を合わせているとしても、それも楽しいのが恋だ。お互いに、休日は職場のグチを言わない気遣いとか、相手を尊重する大人の思いやりが心地よく、「この際、一緒に住もっか」なんて言葉を密かに期待してみたり。  でも、その週末も、もう四週連続会えていない。全部、悟史の都合でだ。 「由紀乃ならわかるでしょうけど、今は向こうが超忙しいでしょ。友達の結婚式で帰省した週は仕方ないとして。三週連続、土曜の深夜まで出張で日曜に帰って来るなんて、人使い荒過ぎない? みんなそうなの? 本人から詳しく聴く暇がなくて」  お互い出社していても、フロアが違えば会わない日もざらにある。昨日は「からだ壊さないようにね」とメールしたら、「真澄もな!」とだけ返信があった。  しつこくするのもされるのも嫌だ。だから、情報システム部の状況は由紀乃から訊くようにしている。 「う〜ん、全員じゃないけど……彼氏君はデキる人だからね。担当も増えてるし、業者との窓口にもなってるからあちこち行くみたい」 「そうなんだ。今日は確か静岡だよね。帰って来てくれたら部屋で待つのにって思ったんだけどね。絶対言わないでよ」 「言わないよ。ほら、出張先で飲む機会も多くて、それで遅くなるみたいよ。真澄も今週末は諦めて、思う存分ぐうたらしたら?」 「そっか。じゃあさ、たまには二人で飲みに行かない?」  私は、由紀乃を誘ってみる。  どうせ断られるだろうと予測して。
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