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順応の早い体に驚きつつ、射精が近いことを悟った俺は、あいた方の手も彼の股間にのばした。会陰から陰嚢にかけてを包み、手の熱で温めながら優しく揉みほぐす。小ぶりな双球は、俺の手の中でもったりと動いた。
必死に自制しているのだろう彼の腰がもどかしそうに揺れ、隠しきれない興奮が乱れた息とともに外に漏れていた。
「……ぅ……っ!」
低く小さく、息が喉に詰まったような音をさせ、陸奥の腰がガクンと揺れる。その刹那、彼の右手が空を切り、自らの屹立の根元をキツく握りしめた。歯を食いしばり、息を止めた陸奥の体が数回、痙攣する。
俺の手の中の双球は内にある白濁を放出できず消沈したように、ゆっくりとその重みを任せてきた。
「何を……しているんだお前は……!」
射精を自ら握り止める患者など初めてだ。思わず怒ったような声が出てしまい、陸奥が戸惑い顔を俺に向けた。
「何か、いけませんでしたか? 布団を汚してしまうと思ったので……」
「老廃物を出すんだと言っただろう!」
「え……?」
陸奥が記憶を辿るように瞳を揺らす。はっきりとは伝えていない。だが、まさかあんなふうに止めるとは思わなかったのだ。
「申し訳ありません。あの……粗相をしてはいけないと、咄嗟に……」
また機嫌を損ねたかと危惧したのだろう。陸奥は上半身を少し起こして不安そうに俺を見上げた。
捻った腰が艶めかしい。西洋絵画の裸婦のようなその曲線に、目が吸い寄せられた。
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