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「先生、私からも一つ伺ってもいいですか?」
「何だ?」
「先ほどのは……男にしかなさらないとおっしいましたが……反対に、女性だけに効くようなツボなども、あるのですか……?」
何気なく尋ねているふり。が、彼が先程から「女性への施術」について探っているのは明白だ。
俺は内心ため息をついた。
もしかしたら、本当に具合が悪いのかもしれない。どこかに暗く冷たい病巣があって、原因も治療法も分からず苦しんでいるのかもしれない。陸奥には「別の思惑」などなかった、そんな期待も抱いていたのだが。
「上半身はそのまま、膝を布団について腰を上げろ」
冷たく命じてから、油差しから多めに油をとる。命じられた体勢を理解した陸奥が、上半身を起こして振り返った。
「聞こえなかったのか? 尻をつき上げて膝をつけと言ったんだ」
「……分かりました」
低く返事をした陸奥が、敷布に手をついて膝を立てた。彼が内心の疑念や反発と闘いながら獣のように四つん這いになるのを見ながら、むき出しになった彼の尻のすぐ後ろに膝をつく。
油をなじませた指で紅梅色の菊門を撫でると、陸奥の腰が逃れるように前に引っ込んだ。
「逃げるな」
腕を下に回して腰を引き上げ、彼の脚を自分のひざで広げさせる。菊の花芯に二本の指を埋めると、陸奥はそこから電流が走ったように全身を痙攣させ、直後にガックリと頭を下げた。
先ほど入れた油が、彼の体内にまだ残っている。二本指を抽送し中を搔きまわすと、温められてゆるくなった油がグチュグチュと卑猥な音を立てた。
「陸奥……お前の、本当の目的はなんだ?」
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