3.

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 狭い孔道を奥まで突き上げると、陸奥の背中が痙攣し反り返った。亀頭のくびれまで引き抜き、再び全体を埋める。深い抜き挿しに翻弄された腰の曲線が、猫のようにたわむ。繰り返すほどに、波打つような肉壁は熱を帯び絡みついてくる。  体は確かに反応している。ひくつく肉壺は、まるで男を喜ばせるために作られたもののようだ。彼自身もしとどに濡れ、熱く滾っている。それでも、声を上げず体をこわばらせた陸奥の反応に、俺は次第に不安になった。 「脚がつらいか?」  一度抜き、細い腰を支えながら陸奥の体を表に返した。声を抑えていたせいか彼の顔は紅潮し、目には涙が溜まっている。非難を滲ませて俺を見上げるその目が、膝を割り足を開かせると驚愕に見開かれた。 「……んん゛っ」  温かい孔の中に、屹立を再び埋める。痛いほどに締め付けてきた陸奥は、両腕で自身の顔を覆い隠した。  男娼なのかもしれない。  俺の中の冷静な部分が、そう囁いた。  春をひさぐ者たちは、客と向き合って体を開くことがない。美しく結った髪や帯が乱れるからというのが表向きの理由だが、その実は客に表情を見せないためだという。  淫らな喘ぎを漏らすその顔が白けているのを、客は知らない。知らなくていい。  仰向けで体を開かされ瞠目した彼は、今までに何人の客をとってきたのだろう。桃色に染まったきめ細かい肌に幾人の男の指が這い、熱い肉のわななきにどれだけの男が溺れのだろう。  胸が焦げるような思いで、俺は顔の見えない細い体を突き動かした。 「んっ、んぅ、んん゛…… っ」
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