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そう脅しても体を硬くしてグッと顎を引いた陸奥に、落ち着きかけた俺の熱が再燃する。
思い出させるように、彼の体内にいる指先で密やかなしこりを掻いてやると、汗ばんだ体が俺の腕の中で痙攣した。
「覚悟はできているな?」
正直言って俺は、この時にはもう陸奥の素性や雇い主など、ほとんどどうでもよかった。むしろ朝までずっと黙っていてくれとさえ思っていた。
こんなことをされてまでも、陸奥が頑なに庇う彼の主に暗い嫉妬を覚えた。おそらくはその人物が、彼の体を拓き、抱かれて感じる体にさせたのだろう。
その男の前でなら、陸奥はあられもなく喘ぐのだろうか。敏感な体の反応に涙を浮かべて抗うのではなく、その手で男を愛撫し、突き動かされて悦び、彼の精を受け入れるのだろうか。
笑顔を、見せたりするのだろうか。
嫉妬は劣情に変わり、久しく人肌に触れていなかった俺の体は、噂に聞く発情した虎のように猛り狂った。
一晩のうちに、何度精をまき散らしたかわからない。俺も、そして陸奥も。
彼の顔は、人形のように動かなかったのが嘘のようにくずれ涙と涎で汚れた。一文字に閉じてほとんど開かなかった口からは艶を帯びた喘ぎが絶え間なく漏れ、その合間にもう勘弁してくれと泣いた。
俺はもう、彼の目的を尋ねたりしなかった。
ただ何かに取り憑かれたかのように、どちらのものかもわからない体液で汚れた布団の上で、白く美しい体を貪り続けた。
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