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「分かりました。何が煎じられたものか、聞いてもよろしいでしょうか?」
「聞いてもいいが、全ては教えられないな。生姜と桂皮、あとは味から推測しろ。心配しなくても毒草は入れていない」
陸奥は茶碗を両手で押し戴き、黄金色に澄んだ薬湯を見つめている。香りを確かめるように目を閉じ、唇を窄めてふうっと吹いてから徐ろに口をつけた。
俺は押入れから替えの敷布を出して、敷きっぱなしの布団に掛けた。陸奥が指示どおりに一口ずつ薬湯を飲むのを横目で見ながら、香の用意をする。燐寸で先端に火をつけると、細く白い煙と甘苦い香りが立ち上った。
薬湯を飲み終えた陸奥が、茶碗を盆に戻す。細い脚を前に投げ出し、指示を待ち見上げてくるその眼差しに、先ほどまでよりも艶があるように見える。
「裸になって横になれ。下着も全部だ」
はりの施術に、真裸になる必要があるのか。そんな質問をされたら仕舞いにしようと思ったが、彼は眉一つ動かさず「はい」と小さく答え、俺に背中を向けた。
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