だいたい噂になってるやつって仲間になること99%ですよね

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だいたい噂になってるやつって仲間になること99%ですよね

「ああ、やっと着いたで。長い旅やったなあ……」 「……いや、しみじみしてるとこ悪いけど、ローヒンさん。まだ1週間しか経ってへんで」 「気分や気分」  ローヒンとウォーリッシュが故郷を旅立って1週間が過ぎた。方角的にはずっと東の所にある(おそらく)ラスボスであるキーングの城に、この2人は向かう途中なのだ。 「全く、あの宿屋結局泊まらせてくれんかったからなあ。あちこちガタガタや。ジュースももったいなくてなっかなか飲めへんし」 「おまけにローヒンさん、その辺に落ちてるキノコやら何やら拾って食べるから食中毒起こしてたしな。幸いこの宿屋で異常回復薬売ってたおっさんがおったからよかったけど、それでほとんどすっからかんになったで」 「よし、とりあえず情報収集やな」  ローヒンは無理やり話題を変えた。  そこにちょっと綺麗な婦人が話しかけてきた。 「あらあんたらどっからきたん? え? 頼りになる仲間を探してるって? それならここらで有名な魔法使いがおるで」 「何も聞いとらんのに自分からめちゃめちゃ有益な情報話し始めたで、このおばさん」 「マッソンは北の洞窟に腕試しに行っててな……、あ、もう帰ってきたみたいやわ」 「誰やねんマッソンて。まあ今北の洞窟まで行かなあかん思てたから、手間が省けてよかったわ」  するといかにも魔法使いといったような帽子と黒いローブを身につけた化粧の派手な年上っぽい女が立っていた。 「説明が失礼すぎるわ。なんやのこの人ら」 「あんたの仲間になりたい言うてえらい遠いところから来てくれたらしいわー」  別に仲間になりたいとも、遠いところから来たとも言うてないねんけど、仲間フラグめっちゃ立ててくれるやんこのおばさん、とか思ってるローヒン。 「わたしそんな有名やないと思うけど。まあなってくれる言うんやったら、ならしてあげてもええよ」 「ツンデレやん」  何故かちょっと嬉しそうなウォーリッシュ。しかし次のセリフでその印象を思い切り(くつがえ)した。 「ちょうどよかったわ。魔法の実験台になってくれる人探してたんよ」 「いや、ただのヤバいやつや」  ローヒンはちょっと引いた。 「わたしはマッソニール。気軽にマッソンて呼んで。ほな、これからよろしゅうな。ローヒンさんにウォーリッシュさん」 「ちょい待て、なんでオレらの名前知ってんねん」 「ほんまや、何でボクの名前を? まさかボクのファン?」  またも嬉しそうなウォーリッシュ。  あかんこいつ、と視線を送るローヒン。マッソンは続ける。 「せやから魔法の実験やって。最近覚えたステータス測定の魔法や。これを使うと敵のステータスまるわかり。これだけ便利な魔法は今ここだけでしか買えん。999,999Gや」 「いや売り付けんな」  魔法使いマッソンが仲間になった。
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