世界救いにいくんですからもう少し初期装備強くなりません?

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「まさか私に倒しに行けとかいうんじゃありませんよね」 「お、話が早くて助かる」  ローヒンはまた王に聞こえないくらいの声でボソッと言った。 「いやいや、意味分からへんて! オレただの町人やで? 何考えてんの、この王様」 「姫がどうしてもそなたに行ってほしいと言ってきかないのじゃ」  ローヒンはますます困惑する。 「お姫様もお姫様で何考えてるねん! オレは町人なんや! そんな戦いとかしたことないし。親子そろって何考えてるねん、ほんま」 「ああ、ローヒン? うなっているところ悪いが、これは国王命令じゃからな。そなたには何が何でもそのキーングを倒してもらわねば」 「いやいや、無理ですよ。私に倒せるわけないじゃないですか」  王は頭を下げた。 「頼む! 姫の願いを聞いてくれ! そなたに旅立ってもらわねばわしが姫に怒られるのじゃ」  いやあんたの心配かい、とローヒンはずっこけそうになる。ローヒンは気を取り直して言った。 「意味不明ですって。何でお姫様が私に旅立ってほしいのですか」 「鈍いやつよのー。姫はおぬしに惚れとるんじゃ」  ローヒンは少し良い気分になったが、旅立ちを免れたわけではないのでまた暗い気分に戻った。 「光栄だとは思いますけど、それとキーングを倒すことに何の関係が?」  王はそのたくましく生えているひげを触りながら言う。本当にたくましいのはひげだけだが。 「それは決まっておろう? 何のステータスもない今のそなたでは国民が納得しまい。しかしあのキーングを倒した勇者が相手であれば誰も文句は言うまいて。要は結婚のための儀式みたいなもんじゃな。ホッホッホッ」  ローヒンは頭を抱えたくなった。
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