世界救いにいくんですからもう少し初期装備強くなりません?

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「ところで王様、私の武器などは?」  姫は勉強の続きをしないといけないらしく、席を外した。  ローヒンは旅立つ前に王から武器や防具を支給してもらうことにした。 「ん? 武器? おお、武器か!」  王は完全に忘れているようだった。 「王様、まさか丸腰で旅立てと?」  ローヒンはあからさまに不満そうな目を王に向けた。 「いやいや、さすがにそんな無茶なことは言わんよ」  既に無茶な要求をしている癖にどの口が言うのだろうか。  ローヒンはさすがに武器くらいはちゃんとしたものを提供してもらえると思い期待してみる。王は後ろにあった箱を色々探って武器らしき物を取り出すとローヒンに差し出した。 「ほれ、この武器を持て」  渡されたのは木の棒だった。  ローヒンはしばらく木の棒を眺めた後、ため息混じりに言う。 「あの、王様?」 「何じゃ?」 「お言葉ですが、これではモンスターと戦えません。もっと強い武器を支給してはいただけないでしょうか?」  王は当然のように驚いた。 「何と、おぬし木の棒では戦えないと申すか?」  ローヒンはボソッと言う。 「いや、当たり前やん。ただの町人相手に木の棒で戦えとか正気か? レベル上げる前にやられるで」  王は腕組みしながら考え込んでいるようだ。 「むう、しかし旅人に支給できるのは木の棒だけなのじゃ。残念ながら」 「ええー、仮にも勇者やのに待遇めっちゃ悪くない?」  ローヒンは頭を抱えつつ王に返す。 「しかし王様、これではやはり戦うには不十分かと」 「むう、しかしなあ」  そこで、不在だったがいつの間にか帰ってきていた大臣が口を挟む。 「陛下、兵士用の武器や防具ならありますよ。それをお渡しになられては」 「おお! それではそれを下さい!」  しかし王は明らかに不満そうな声をもらした。
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