世界救いにいくんですからもう少し初期装備強くなりません?

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「ええー、いやあれは兵士用の武器であって旅人に渡すものじゃないぞ。兵士でもない者に渡したとなったら周りの兵士に反感をくらいそうじゃ」  ローヒン、またボソリ。 「何でやねん、キーングを倒しにいくための武器なんやから、それはええんちゃうの」  大臣が言う。 「それでは陛下、兵士として旅立たせればよいのでは? それなら兵士用の武器や防具も支給できますし。元々そのつもりで姫もお声をかけられたのでしょう?」 「まあそうじゃな。うーん、しかしローヒンよ。そなたはただの町人なんじゃろ? いきなり槍とか剣とか扱えるのかの?」  そう思うのならキーングを倒しに行けなんてはじめっから言わんといてほしいもんや、とローヒンは心の中で毒づきながら反論する。 「しかし木の棒だけだと何とも心もとないと言いますか……」 「ふむ、まあそうじゃな、確かに」  そして、王が考える脳があるのかないのかよくわからない頭を右に左にひねりまくっている様子をローヒンは、いつ終わるんかな、と思いながら見ていた。  それを見かねたのか、大臣が提案した。 「陛下、それでしたらウォーリッシュに一緒に行ってもらうのはいかがでしょうか」 「おお、そうじゃ! ウォーリッシュがおったな!」  聞き覚えのない名前にローヒンは首を傾げた。 「あの、ウォーリッシュとは?」 「彼はなかなか腕の立つ戦士ですよ。普段は北の洞窟にいるのですが、たまーにふらっとやって来ますね」  するとそこに軽装の鎧を身につけた、体格の良い右腕に古傷のある男が現れた。
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