すごいけど何故一般人がそんなもの持ってるのか甚だ疑問です

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すごいけど何故一般人がそんなもの持ってるのか甚だ疑問です

 ローヒンとウォーリッシュは城下町のローヒンの実家に行った。  結局、王からは結局攻撃力2の木の棒と防御力1のマントのみ受け取った。無いよりはマシだろうが、とてもこれから世界を救いにいくような格好とは思えない。 「え、ローヒン。あんた勇者になったん? 勇者やなんて、お母ちゃん、めちゃめちゃ鼻高いわー。あ、ウォーリッシュさん、これジュースですー」  とりあえず、旅立つ前に両親に挨拶をしてからでないと、と思い帰ったのだが。 「ありがとうございますー」 「そんな鼻高々とせんでええねん。オレはほんまは行きたくないねんから。もうこのまま行くのやめよかなー」 「何言うてるの。有名になれる上に、お姫様と結婚できるチャンスやないの」 「そう言うたってなあ……」  そこでピンポーン、と音がなる。ローヒンの母はすぐさま玄関へと向かい、しばらくすると戻ってきた。 「ローヒン。今お城から使いの人が来てこれ渡してきたわー」  ローヒンの母はローヒンとウォーリッシュに紙を見せる。 「んー、何々? 『通告書 この度、ローヒンを勇者として任命したことにあたり、キーングを倒すまではローヒン・ウォーリッシュ両者ともにファトスの町への出入りを禁ずる』!?」 「あらー、ローヒンさん、やられたな」 「いや、まあ出えへんかったら大丈」 「続きがあるで」  ローヒンは母に促され、しぶしぶ続きを読む。 「『なお、この通告書を受け取った時点より10分以内にファトスの町から出ること。さもなければ問答無用で町から叩き出すのでそのつもりで』って……」 「めっちゃ脅してくるやん」  「ローヒン、あんま時間ないやん。これ持ってはよ行き」  ローヒンの母はジュース入りのペットボトルを数本渡してくる。ローヒンはそれを眺めて、はあっとため息をつく。 「あのなオカン。嬉しいねんけど、せめて薬草とかないかいな。これじゃ喉はうるおせても、傷まで治らんで」 「何言うてるん。これ一口飲むだけでHP、MP全回復する優れもんやで」 「オカン大好き!」 「いやいや、何でそんないいもん持ってるんですか……」  その後、いつの間にか10分経っていたので、ローヒンとウォーリッシュはファトスの町から叩き出された。
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