世界救いにいくんですからもう少し初期装備強くなりません?

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世界救いにいくんですからもう少し初期装備強くなりません?

「おお、勇者ローヒンよ。待っておったぞ」 「王様。私は兵士として雇われると姫から伺いましたが、何かの間違いでしょうか。今勇者とおっしゃいました?」  この男ローヒンは、城下町で町人としてごく普通の町人生活を送ってきた男である。たまたま外に出掛けていった姫が何故か井戸に落ちかけているのを発見し、助けたことで兵士としてスカウトされた、はずだったが。 「いやいや、間違いではないぞ。そなたは確かに勇者としてここに呼ばれたのだ」  ローヒンは王から顔を背けてボソッと言った。 「いやいや、オレただの町人やで。勇者とか意味わからんて。てか勇者って何? 何か怖いこと命令されるんちゃうやろな」  王はローヒンにジトリとした目を向ける。 「ん? 何か言ったか?」 「いえいえ、何でもありません」  ローヒンは慌ててごまかす。王は咳払いをして言った。 「オホン! 勇者ローヒンよ。この城から遥か東にある巨大な城のことは知っているな?」 「ああ、あのキーングとかいう超巨大モンスターが住んでいるという噂の?」  とりあえずその勇者って呼ぶのやめてくれへんかな、と心の中で文句を言いながら返すローヒン。 「そうそう。近頃その怪物がとんでもなく暴れまわっている。どうしたもんかと思っておったのじゃが」  ローヒンは嫌な予感がした。
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