0人が本棚に入れています
本棚に追加
「きゃーっ!!」
女性の黄色い声が上がる。
「あー、くそっ!」
男性の悔しそうな声が響く。
鬼たちはその合間に笑い声を上げたり、冷静に話し掛けたりしている。
私は地獄を見下ろせる高台から眺めていました。
血の池へハイスピードで下っていく、鮮血を流すウォータースライダー。
針の山の頂上から垂れ下がったロープを掴み、自分が一番になろうと額に汗を浮かべ足の裏から血を流しながらも登る罪人たち。因みに、一位には鬼界一の美鬼と半日デートが出来る権利が与えられます。
賽の河原では子供たちと鬼がジェンガを嗜んでいます。積んだ石を崩すのは鬼の役目。ジェンガを、楽しんでいる子供より先に崩さなければならない事に苦悩する鬼もいますが、まあそれは愛嬌という事で。おや? 隣では人形をタワーに乗せていくバランスゲームが行われています。子供も鬼も笑顔。
「ほら、ちゃんと列に並べ」
怒っているのは、列に横入りする罪人を金棒でどつく鬼ぐらい。
地獄は今や明度を落としたテーマパークの様な有様となっていました。
「困りましたね。極楽よりも地獄へ行きたいと申す人が増えているのですよ」
いつの間にか現れた人型の光の塊が、溜息混じりに言ってきました。
「お困りですか? では微力ながら手助けいたします!」
地獄の悩みを解決し極楽の悩みを解決したならば、次は紛争地域にでも行かせて頂きましょうか。
最初のコメントを投稿しよう!