第12章 蜀の国編~法正~

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時は流れて西暦212年06月09日 法邈「母上…、 父上はまた張松殿の屋敷でございますか?」 法正と黄寿の間に産まれた法邈も 早いもので14歳となりました…。 黄寿「ええ…そのようですね…。」 法邈と黄寿は全く知りませんでしたが… 法正と張松は恐ろしき計画を実現させようとしておりました…。   それは… 張松「劉備殿に蜀を治めて頂こう…」 実は劉璋、漢中を治める張魯と 極めて仲が良くありませんので…    今から遡ること3月前の 西暦212年03月09日の事にはなるのですが、 劉璋「張松、そなた曹操に援軍を要請せよ。」 朝議の席でそのように命じたのは良いのですが…張松は自己顕示欲がとても強い上に不遜でございますので多忙を極めている曹操になかなか逢えずにいる間、暇つぶしに曹操が翻訳した伝記を読見ながら待っていたのは… 別に構わないとは思いますが… 曹操「長らく待たせてしまいすまぬな…」   曹操が来るとあろうことか張松ときたら… 張松「曹操殿、これはさすがに酷いです…」 曹操の前で曹操が翻訳した伝記の欠点を ペラペラしゃべり倒してしまいまして… 曹操「さっさと帰れ!愚か者!」    当たり前ではございますが… 曹操は張松の無礼千万な振る舞いに対して 激昂してしまいまして…張松を屋敷からたたき出したのでございます…。 自らの振る舞いが原因だと分かりそうなものではありますがそれすらも分からないこの男は後ろを振り返り曹操の屋敷に向かって睨み付けたのでございます。 しかし…援軍を頼まれているのに、 手ぶらで帰ればそれこそ劉璋になんと言われるか…分かりません…。 張松『誰かに援助を頼めなければ… 俺は帰るに帰れない…』 張松が心の中で自問自答すると… ある人物に頼むべきではないか…と 1つの選択肢を思い描く事が出来ました…。 それは…〈劉備〉でございました。 張松『まさか仁義に厚い劉備殿ならば可哀想な俺を見捨てたりはすまい…』 思い返してみますと…自分が余分な事を言ったばかりに曹操を怒らせたと言うのに…反省するどころか全く持ってどういう神経をしているのかさっぱり分かりませんが…張松ときたら劉備の元へと向かい… 張松「曹操殿に虐められました… ただ私は主である劉璋の命に従い 援軍要請へ向かっただけなのに…」などと 涙ながらに告げましたもので… 人に対して全く疑いを持たない 素直な性格である劉備は… 劉備「お気の毒に… 我が軍で良ければお助けしましょう。」 などと即答したため自業自得ではありますが 曹操からかなりの塩対応〈当たり前ですが…〉された張松は感動のあまり…     張松「劉備様、入蜀しませんか?」 などととんでもない事を 言い出したのでございます。 しかし… 無論、「入蜀しませんか?」と言われて 簡単に「はい、そうですね…!」なんて 言う愚か者は… 張松と魏延と猛達ぐらいなもんで… あら?何やら多い気がしますが… 薄情な3人「やかましい!」 薄情過ぎる3人組はさておき… 劉備は… 劉備「遠戚である劉璋殿の国である蜀を取るのは何とも忍びないのだが…。」 無論見識のある劉備は、 この申し出に反対しますが…   龐統「お待ち下され…殿。 蜀の民は殿がお越しになられるのを 待っているのではありませんか?」 張松「はい…。 戦が起きて困るのは民です…。 劉璋は侮られているため張魯により 度々侵略を受けておりまして皆、嘆いております…民を助けるためにございます…。」 劉備「それならば仕方あるまい…」 劉備から許可を得た張松は大喜びで 蜀へと戻り西暦212年05月01日の朝議にて…   張松「殿、曹操には追い出されましたが… 劉備殿より援軍を出しても良いとの返答を頂きました…。」   劉璋に対して自らが曹操にした愚かな振る舞いを伏せた上で結果を報告したのですが… 黄権「劉備だと…?劉璋様、何か嫌な予感が致します…。劉備は曹操に味方すると言った為それを信じた曹操が呂布討伐に協力したというに…果ては裏切りました。もしかすると国を取られてしまうかもしれません…国を取られてからでは遅いです…。」 法正の義兄である黄権が 案の定反対意見を述べたのですが… 劉璋「張魯の脅威を除かねば民がいつまでも安心出来んではないか?法正、猛達、そなた達が劉備殿をお迎えする使者となれ…」 こうして…法正と猛達は劉備を迎えに行く使者となり蜀の近くまで招き入れる事に成功はしたのですが… それから約1月が過ぎたと言うのに… 劉備は一向に戦を仕掛けないため… 張松と法正は悩んでいました。 しかし…法正はあくまで冷静沈着なので… 法正「あまり焦るものではないだろう…」 張松は焦るあまり劉備に対して 〈早くクーデターを起こして下さい。〉などと書き記した文を密使に 持たせてしまったのでございます…。 しかし…この密使… 密使「奥方…旦那様がこのような密書を劉備殿へお届けせよと仰せでございました…。」 法律「…これは大変だわ…張表、行くわよ…。こうなれば密告して連座を免除して頂きましょう…。」 さすがは法正の妹であるだけありまして… 法律と張表により張松の企みは露見し… 劉璋「よくも私を騙したな…。 その罪、お前の命を持って償え!」 張任により斬られてしまいましたが… 法律と張表に関しては密告した手柄により 連座を免れたのでございます…。
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