第12章 蜀の国編~法正~

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法正「だから…止めておけ…と 申したのに…焦るとロクな事がない…と 忠告したというに…」 法正は張松の死んだ事を 嘆き悲しんでおりました…。 黄寿「法正様…もしや…」 法正「もしかして俺が張松と結託して 謀反を起こしたとでも言うんですか? よもやそなたも連座を免れる為に俺を売る なんて事は言いませんよね…」 黄寿はそれ以上の事を聞き出せませんでしたが事態は深刻になっておりました…。 劉璋「劉備が蜀に来られぬよう警備を 厳重にしておけ…。法正の妻である黄寿を 人質として捕らえよ…。」  張任に斬られた張松が法正の妹婿だった事を考慮して法正が劉璋を裏切らぬように… 劉璋は張任に命じて… 張任「黄寿…神妙に致せ…」 黄権の妹である黄寿を 捕らえたのでございます…。 黄寿「どうしてこんな事に…」 法邈「大変だ…父上にお知らせせねば…」   法邈は嫌な予感がして隠れておりましたが… その予感は的中し父親である法正の元へと 早馬を飛ばし向かう事にしました。 黄寿が捕らえられたその頃 法正はといいますと… 法正「劉備様、何卒、 張松の死を無駄にしないで下され…」 劉璋の目を盗んで劉備にクーデターを起こす よう説得をしておりました…。 すると… 法邈「父上…。 母上が劉璋に捕らわれてしまいました…。 劉璋ときたら見せしめに母上の命を奪うかもしれんと笑いながら言っていました…。黄権伯父上にも相談しましたが裏切り者の肩など持つかと聞く耳を持ちませんでした…」 法正「黄権にとって1番は黄寿の命ではなく劉璋の命だ…。アイツにとって黄寿は大した価値のない女だからな…。」 法正は冷静に返しましたが…あまり執着してないように見えても苛立ちだけは隠せませんでした…。 法正「黄寿は…俺が守りますよ…。 劉璋、妻に指一本でも触れれば許さない…」 普段は冷静過ぎるくらいに冷静な法正の表情をまじまじと見つめていた諸葛亮は… 諸葛亮「殿…、いま、クーデターを起こせば法正殿の妻を無傷で助け出せます…。国を守る為には法正殿の妻を罰するよりも我らと戦うべきなのですから…」 劉備「そうだな…全軍、出撃だ…」 法正「ありがとうございます、このご恩は必ずやお返し致します…なぁ、法邈…」 法邈「無論でございます。」 かくして劉備軍は劉璋のいる 成都を目指して進軍を開始しました…。 一方その頃、黄寿は… 黄寿「張任様、お離し下さい…」 なんと…張任に捕らえられ成都に連れて行かれるはずだったのですが張任の一存により…張任が守将を勤める城へと連れて来られたのでございます。 張任「…俺に…しなさい…」   張任は黄寿を城の中に連れて行くと… 黄寿「私には夫も子どももおります…」 …まさかの行動に 出ようとしたのでございます…。 張任「本当ならばこんな事をしたくはないがそなたの夫は劉璋様を裏切っている…。だからこそそなたは忠臣の妻になるべきだ…。俺は貴女の事をずっと慕っていた…。」  黄寿「…助けて…法正様…!」   … すると…意外や意外ダークはダークですがヒーローは突然現れるものでございます。 … … 法正「ようやく夫を頼る気になったようでとっても嬉しいですよ?で、どうやら張任は本気で俺を怒らせるつもりらしいな…。張任!貴様、俺の妻に指一本でも触れたら俺は貴様を絶対に許さないからな!」 ちなみに張任が守る城は、 成都を攻めるのに攻略せねばならない城だった為現れたのに過ぎませんが自分がピンチな時に颯爽と…?夫が現れたならそれなりに嬉しいものでございます。 黄寿「法正様…」 しかし…追い詰められると鼠も猫を噛むものでございまして… 張任「…黄寿は私と一緒に逝くのだ…」 張任は黄寿を抱きしめたまま 刃を抜きました…。 すると… ヒュー 張任「うっ…」 どこからか飛んできた弓が張任の手に当たり 刀を弾き飛ばしたのでございます…。 それは… 黄忠「当たったわい…。女性を道連れにするなど男の風上にも置けぬ奴よ…」 弓を発射すれば百発百中の老将・ 黄忠の放った弓矢でございました。 法正「…雨琳…!」  黄寿「法正様…!」   法正「すまない… 助けに来るのがもう少し遅かったら…と 思うとぞっとする…。雨琳…。俺の命がある限り隣にいて欲しい…。」   黄寿「無論にございます…。助けに来て頂きまして本当感謝致します…。このご恩はずっと貴方様のお側にいる事でお返し致しますわ…」 こうして張任は… 黄忠により斬られてしまい… 成都は余力を残しながらも陥落しました…。 こうして…劉備の入蜀は実現し、 法正を含めた劉璋の家臣達は 劉備に帰順致しました…。 法邈「終わりよければ全て良しですね…」 … … … 法正「まぁ…そうかもしれんが… 何だか微妙な終わり方に感じるのは俺だけか…?」  黄寿「良いではありませんか?家族皆が幸せであればそれで…」 法正「確かにそうだな…」 黄寿「法正様、素敵でしたよ?」 法正「…〈照れる〉」   
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