第16章 呉の国編~孫堅~

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西暦174年01月02日 呉春嬰(しゅんえい)「これからどうぞ 末永く宜しくお願い致します。我が君…」 呉 桜華(おうか)「我が君、 姉共々宜しくお願い致します。」 … …  …  長沙太守である孫堅の元に双子の 美人な姉妹が嫁いで来たのでございます。   まさにその美しさは…あの大喬、小喬を超越する美貌だったそうで… 孫堅「ああ、2人とも宜しく頼む。」 そんな2人を1度に妻として迎える事が出来た孫堅はとても嬉しそうな顔をしていました 2人「はい!」 息のあった2人を見た孫堅は更に… 孫堅「ははっ。楽しくなりそうだ…」 楽しげに笑いました。 春嬰「はい…」 桜華「はい…。」 そんな2人にとって優しくて 頼り甲斐のある孫堅は、 まさに運命の人でございました…。 孫堅「春嬰、桜華。2人に似合う簪を買ってきたのだ…良ければ付けてくれぬか?」 孫堅は多忙ではございますが、 出掛ける度に妻へのお土産を購入し、 帰る忠実(マメ)な人でございました。 但し… 春嬰はその翌年、北聖(ほくせい)… 後の孫策を産みました。 桜華「私の元には訪れがない…」 孫堅は嫡男が産まれた事で春嬰の元に 入り浸るようになってしまいまして… 孫堅「北聖は可愛いの…」 優しくて純粋な孫堅はそれはそれは… 北聖と産みの母親である春櫻を溺愛するようになっていました…。 春嬰「…幸せでございます…」 春嬰は幸せいっぱいなのですが… 桜華は…悲しみのあまり涙で 枕を濡らすようになっておりました…。 桜華「殿…。殿…。殿…。」 桜華が涙に暮れている事を1番側で見ていて心を痛めている人がおりました…。 韓当「桜華様が可哀想だな…。 何とか殿との仲を 取り持つ事が出来たら良いのだが…。 俺が何とかするしかないな…。」 韓当は桜華の事を大切に思っていました…。 何故かといいますと… 韓当「いい人過ぎてあんまり目立たないと言われる俺が言うのもなんだけど存在を忘れられる事ほど辛いものはないからな…。」 韓当はどうやら孫堅に忘れられている桜華を自らと重ね合わせているようでございます… しかし… 言おう言おうとは思いながらも… 言えないまま時は流れて西暦181年。 韓当「殿、貴方様にはもう1人奥様がおいでではありませぬか?春嬰様ばかり溺愛されては桜華殿が本当お気の毒なんだけど…な」 韓当からこの話をされた孫堅は、 早速桜華の元に向かいました…。 孫堅「長い間、来なくて済まなかった…」 申し訳なさそうに孫堅が桜華の部屋に入ると桜華は泣いていました…。 孫堅「どうして泣いている?」 桜華の涙を見た孫堅は… 明くる朝まで時を共にしたのでございます。それにより産まれたのが…清柳(せいりゅう)…後の孫権でした…。 韓当「清柳様の教育係が俺だなんて… 気合いを入れて頑張りますぞ…」 清柳の教育係に就任したのは、 韓当でした…。 しかし…  程普はそれこそが…不安で 仕方ない様子でございました。 程普「韓当が教育係なんかしたら… 目立つことこそ全て…だなんて教えそうで 本当に不安なのだが…」 この御時世…激しい乱世のまっただ中ですから男児はいつ家督を継いでも良いように きちんと教育する必要があります…。 ちなみに北聖の教育係は… 黄蓋「ガハハッ。 生きてりゃ何とかなりますぞ…。」 … … … 程普「教育を何だと思っておる!」 程普は怒り心頭でございますが、 これはあながち間違いとは 言い切れないのでございます。 … 生きる覚悟を決めている総大将の下にいる 兵士達は強い覚悟を決めた大将を信頼し 付いていきますが…。 死ぬ覚悟を決めている総大将の下にいる 兵士達はそんな総大将についていけるでしょうか? もし…勝ったとしても総大将は 自分達の側にはいない…。 それなら…答えは否でございます。 生きる覚悟というのは強くて貴いもの…。 孫策「ああ、黄蓋先生の言うとおりだぜ。」 成長した孫策は教育係の言うとおりに 生きる覚悟を決め父親である孫堅と共に 勝ち星を挙げ続けてきました…。 しかし…西暦191年 孫堅は宿敵である劉表との戦の際、 だまし討ちに遭い命を奪われました…。 急遽家督を継ぐ事になったのは、 春嬰が産んだ孫策でございました。 孫策「母上…。必ずや親父が 残した孫呉を守り抜いてみせるぜ。」 春嬰「立派よ、孫策…」 桜華「姉上、私達もお支えします…。」  桜華のお腹には、 孫堅の忘れ形見が宿っておりました。 春嬰「私達は双子で 同じ男性を愛した者同士ですから 助け合いませんか?」  姉妹は孫堅の生きている頃、 嫉妬心もありまして全く 交流をしていませんでした。 桜華「そうですね…。私達がいがみ合っているのを殿が御覧になられては殿の魂が成仏出来なくなってしまいますから…。」 孫権「兄上…。 これから宜しくお願いします。」 孫策「任せておけ!」  
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