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「この前の試合で小野田を見つけて嬉しくなってさ。しかもその日、小野田メッセージくれるし、これはもしかしたらチャンスかもしれないなんて思っちゃってさ」 「うん」 「だから今日、後悔しないように告白しようと思ってたんだ」 「……うん」 いよいよ私は両手で顔を覆った。 そんな奇跡みたいなこと、あるの? だって、私も後悔しないように藤井くんに告白しようと思ってたし、これが最後のチャンスだって考えていたもの。でもまさか藤井くんも同じだったなんて、嘘みたいだ。 「……嘘じゃないよね?」 「そっちこそ」 「嘘なわけないよ。私はずっと、高校の時からずっと藤井くん一筋だよ」 「俺も少しでも小野田の近くにいたくて、地元のチームに入ることに躍起になってた。でもよく考えたら小野田が地元にいる確証なんてなかったし、とっくに結婚してたかもしれないのにな」 ははっと、これまた照れくさそうにする藤井くん。 スポーツ刈りに近い短髪だった高校生のころからは随分と髪も伸びて爽やかなショートカット。大人びた印象の藤井くんだけど雰囲気はあの頃そのまま。 かっこよくて爽やかで逞しくて。 そんな彼の隣にいられることが嬉しい。 「俺と、付き合ってくれる?」 「うん、私でよければ」 「小野田がいいんだよ」 甘く微笑まれていよいよ私は頬を赤く染める。 そんな私の右手に藤井くんの手がそっと重ねられ、お互いの体温を感じ取るようにどちらからともなく指を絡めた。 「これからよろしくな」 「うん、よろしく」 テイクアウトしたカフェラテで乾杯する。 プラスチックのカップが柔らかくぶつかり、結露した水滴がキラリと弾けた。 秋の日差しがカラリと感じられる気持ちのいい午後。 無糖のカフェラテが随分と甘く感じられるくらいに、私たちを纏う空気はなめらかに溶け合った。 【END⇒スター特典有り】
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