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「あら、どうしたの? こんな早くに起きてくるなんて」
「僕、今日学校へ行ってみるよ」
「え? ほんとう?」
驚いてはいるけれど、嬉しそうだ。
僕は大きくうなずいた。
「うん。勇気を出してみる。久々に学校へ行ってみようって思い立ったんだ」
「そう。それはよかったわね」
心なしかお母さんの目が潤んでいるように見える。
ゆっくり朝ご飯を食べてから、昨日買った二点の品物を通学カバンに入れて家を出た。
学校までの十数分の道のり、僕は鼻歌を口ずさみながら歩いていく。
久しぶりの学校につくと、校門のそばで僕をいじめていた連中の一人とばったり出くわした。
彼は僕を見て、ひどくびっくりしているようだったが、僕は笑顔で挨拶してやった。
教室にはすでに四、五人の生徒がいて、談笑していた。彼らは僕のほうをちらっと見ただけで、すぐに会話に戻ってしまう。
朝のホームルームは九時から始まる。それまで僕は自分の席でじっとしていた。
途中、僕をいじめていた数人のクラスメイトが教室に入ってきたのが見えたが、彼らはもう僕になんの興味も持っていないようだった。
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