納豆。のち、僕の小さな海

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 学校が始まり、みんな日焼けした顔でクラスに戻ってきた。  野中と松尾はやっぱり最後まで練習に顔を出したらしく、目と歯だけが白くなっていた。美空は髪を染め直して、アメリカの甘すぎるチョコレートを配っていた。 「海人は何してた?」 「なんも。ゲームしてた」 「嘘やろ。超絶つまらんやつ」  クラスメイトの蔑む言葉に反応しないでいると、いつの間にか話の輪から外れていた。それを恐れていたはずなのに、なぜかどうでも良かった。 「なんか、お前、雰囲気変わった」  オタクの五条がぼそりと呟いて、自分の席に戻っていった。その姿を少しだけ目で追って、僕は机に伏した。  夏の終わりの一日の思い出。僕はまたいつかあの海とLENOさんに会いに行こう。今度は、誰にも心配をかけない僕になって。 〈おわり〉
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