蟻の思いも天に届く

Human race

　あなたは現状(いま)に満足できますか？おそらく殆どの方が満足できないと言うでしょう。ある人はこう言いました。『現状に満足するな、上だけを見て進め。』と。本当にそうでしょうか。確かに目標に向かって上を目指すことはとても大事なことです。でも“上だけ”でほんとうにいいのでしょうか。
　私はこう考えます。下を見ることも非常に大切だと。例えば、会社を立ち上げたい人(以下略:Aさん)がいるとしましょう。Aさんは昔から経営に興味があり、大学で経済学を学び卒業もしています。そして、Aさんは社長を自ら名乗り念願の会社を立ち上げます。社員を大勢雇い、残業やら超勤で働かせてしまいます。しかし、お金もまだないため、1人の仕事の量が多くなってしまうのが現状でした。その上Aさんは何をするにも人任せで頼り過ぎてしまいます。そんな日常を過ごす中、ある商談がAさんの会社に行われます。これは会社が大きくなるビッグチャンス。しかしこれも社員に大きな仕事(タスク)を課し、Aさんは何もしませんでした。数日後、商談は失敗。Aさんは激怒してしまいます。それを見た社員たちはなんということでしょうか、次々と辞表を出し、会社を後にします。これにはAさんもびっくり。そのままAさんは会社を立て直すことができず倒産してしまいました。
　どうでしたでしょうか。Aさんは何が原因だったのか。もっとどうすれば倒産を避けて会社を続けることができたのでしょうか。そう、Aさんは何もしなかったんです。社員を、立場が下の者を見てあげられなかったのです。下を見ない人はいずれ孤独になるのです。下を見ない、ということは、下の者の気持ちがわからないと同然です。その温もりを自分でいっぱいで他人にわかることができなかったのです。
　ある人はこう言いました。現状に満足するな。上だけを見て進め。』と。
しかし、私は下も見つつ上に進まなければならないと思うのです。下を見なければ、目標は達成できても、信頼は生まれないし、続きもしません。これが難しいから、頂点に立ちつつそれを続けられる人が限られてくるのだと思うのです。