知性の雫

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 男は銀座のクラブでくつろいでいる。新人が入ったとのママからの電話に来店したというわけである。これも常連客の特権と微笑んでいるところに、ママが新人ホステスを連れてきた。きょうが初日とあって女は緊張している。まずは三人で乾杯して暫し談笑している。男はママに指名の合図をした。今宵はゆっくり楽しむつもりらしい。  女の声に男は心地よさを感じた。この声で授業してくれれば勉強したのにと悔しがるほどであった。どこかで声のトレーニングを受けているのかと尋ねると、朗読のトレーニングを受けたとのこと。昼は朗読を聞かせる店で働いているようだ。是非とも朗読を聞かせてもらいたいものだと言うと、昼の店の名刺を秘かに手渡した。
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