知性の雫

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 ようやく源氏物語の口語訳を朗読し終えて、男は女とともに銀座のクラブで打上げの宴に興じている。平日は毎晩クラブに来ているとはいえ、読了の宴は格別である。  明日からは源氏物語の原文を朗読することになる。原文と口語訳の対訳本を使う予定である。  翌日、女は紫式部の口調を想像しながら原文を一頁朗読する。続いてふたりで朗読して読み進んだ。  口語訳の朗読と似たような時間で原文を朗読し終えた。読了の宴はクラブで盛大に行われている。ママもここまで続くとは思っていなかったらしく感心している。  ひとまず国語は区切りとし、明日からは算数の教科書を朗読することにした。  女は大学時代に家庭教師をした経験があり、高校の数学でも朗読することはできる。  翌日、女は小学一年の算数の教科書を男に渡し、一頁ずつ朗読していく。  練習問題は解かないで省略することにした。その代わりに一冊読み終えると最初の頁に戻り、三回読み終えてから、次の学年の教科書に進むことにした。
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