慎重な暗殺者

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… 【慎重な暗殺者】 彼は慎重な暗殺者であった。一人の暗殺に半年ほどかけ、今まで、失敗した暗殺依頼はなかったという。それはなぜか?彼が慎重であるからだ。 『暗号は?』 「山は海より低いという謎」 なぜそんな変な暗号なのか?それは、暗殺神である我でもわからぬ。我は暗殺神 零だ。暗殺神は、暗殺者たちが、依頼に失敗し、死んだ時に、魂を地獄に送る神だ。あと、暗殺者のサポートも少しだけする。今まで、我の助けを受けなかった者は居なかった。暗殺者の誰もが死ぬまでに我の助けを何度か借りた。だが、この男は、なぜか我の助けがいらない。それは慎重であるからだ。だがこの男でも今回の依頼は流石に我の助けなしでは死ぬと我は思った。 依頼内容は… 慎重すぎる暗殺者視点〜 『今回の依頼だ。今回は、G7に集まった各国の首脳を暗殺してもらう。』 「全員か?」 『ああ。』 「そりゃ、無理だ。」 『なぜだ?』 「俺はそんなでかい仕事は専門じゃないんだ。」 『報酬は、そうだな。前からお前がしたがっていた、【暗殺者引退】でどうだ?』 「⁉︎」 『動揺しているようだな。そりゃそうか。我々組織がお前を今までこの道から外さなかったんだからな。』 「本当にその約束、守ってくれるんだな」 『誓おう』 「ならやる。」 BOSS視点〜 「BOSS。奴との交渉に成功しました。」 「そうか。よくやった。では、口封じの準備をしろ。」 「はっ」 暗殺者視点〜 引退してえええええええええ! 元からこの仕事は向いてなかったんだ。最初は、家の家計が支えられたらいいなって思ったら親友に誘われて…ああ、もう早くやめたいやめたいやめたい!今回の仕事…絶対に成功させる!平和のためにも! まずは変装して情報収集だ。 「大統領閣下。G7当日の段取りはどのような感じで?」 しめしめ、潜入してやった。これで簡単に段取りを話してくれれば、こいつの暗殺成功は決まったも同然だ!(2ヶ月間かけて準備しました。 「ん?なぜ今そんなことを?まだあと、何ヶ月かあるのだが…。」 「早めに聞いておいた方がいいかなと思いまして。」 「なるほど。当日は、まず食事会場で、全員の首脳が食事をし、そのあと、首脳会議が行われる。首脳会議が終わったら日本観光だ。」 「なるほど、それは全員の団体行動ですか?」 「そうだ」 「かしこまりました。」 「頼んだぞ。」 そして全員の、首脳から情報を聞き取って、G7当日。俺はシェフの格好をしている。 そう、料理に毒を仕込んでやるのだーー!といっても大丈夫かなとかのそういう毒味係がいるとは思うので、毒味係が食べない料理に毒を仕込む。まずは、1番バレない、このお好み焼きから作っていく。お好み焼きの中に、密かにこの無色無臭の毒物を入れて…この毒物は即効性。食べて30秒間程度で死ぬ。しっかりと、致死量を入れていく。 お好み焼きを人数分毒物を入れながら作る。一応念のために、味噌汁の方にも入れておく。和食重視だ。今日しかチャンスがない。この食事で失敗すれば、他のチャンスはあまりない。会議ぐらいか? 「料理はできたか?」 」はい!できました」 「よくやった」 バーカーめーがああああ! 「今すぐ運びます。」 しめしめ、毒だ毒! 「ではいただきます」 毒味係が料理を口にする。 「ほう。これはとても美味しいですね」 「お褒めいただき光栄です。」 『いただきます』 食べ始めたか。よしっ、事前に味噌汁から飲んでくださいと伝えておいたので、全員飲み始めたな!これは成功かな? 「ゴフッ」 バタっ よっしゃ!まず一人! 「大統領!どうなされました⁉︎」 「ゴフッ」 「ゴフッ」 「ゴフッ」 「ゴフッ」 バタバタバタバタバタ! よいしょーーーー!コンボ決まり! 大統領! 『追加依頼だ。周りの奴らも殺せ。』 「⁉︎」 『報酬は約束する』 「わかった」 「おい、シェフ!これはどういうことだ⁉︎」 「私に訊かれましても。よくわかりませんねっ!」 「ブシュッ バタ 「な…」 「にげろーーーー!」 「爆弾起動っと。」 ドカーーーーーーン‼︎ 銃乱射開始! ダダダダダダダダダダダダダダン!!!!!!! 「助け」 ブシュッ 「悪いな。こっちも仕事なんだ。」 「よ〜暗殺者。君は良くやってくれたよ。」 「なっ」 ブシュッ 「なぜ、なぜあんたが、なんでBOSSがいる?」 「さあ?お前ら、やれ。」 ダダダダダダダダダダダダダダダダン!!!!!!! 死ぬのが怖い!そうか、俺が今まで慎重に暗殺業をこなしていたのは、俺が慎重だからじゃない。俺が死ぬのが怖くて調べすぎてただけなのか。 k悪いな。お前を生かして置くと、お前の口から組織のことが漏れるかも知んねえからな。あばよ。最後は俺の手で葬ってやる。」 パーーーーーン! 静かな場所に大きな銃声が響いた。 サイレンサーも付けずに…隠す気ないのか。まあ、どうせ俺は死ぬんだから意味ねえか。でも、まだ死にたくない!死にたくない!俺は死にたくない!あっち行ったら姉ちゃんになんて言われるか! …………あ、そっか。俺が死ぬのを怖がっていたのは、姉ちゃんがたくさん人を殺した俺を軽蔑するような目とか、軽蔑するような言葉を言われるのが怖かったんだ。 『大丈夫だよ。太晴。私は怒ってない。貴方は来世は恵まれた生活ができるように頑張りなさい。まだ間に合うわ』 『姉ちゃん!』 暗殺神視点〜 あの男も奴と同じような死に方をした。いや、奴というより、かつての私のようにな。だが最後は幸せそうだった。支えてくれる存在があるとはいいことだ。死にたくないのは姉が怖いからか。この男がそんな考えをするとはな。ま、あらかた間違っていないだろうな。この男はそれほどまでに姉が好きだったのだから。
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