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「あーあ、死んじゃった」
まるで傀儡のように男性を蹴り上げた。
「つまんないつまんない。どうしてこうもつまんないのかな。」
火の玉を連れて階段を降りていく。
「おっ、黄泉の者が帰っていく!」
煌びやかな紫の果実。
幸せそうに帰っていく人々の笑顔。
少年はそんなきれいな世界よりも、自らの足で帰っていく貧しい人々ばかり見ていた。
「あはっ。残念残念。そうやって死んでも惨めに律儀に現世に来るなんてね。僕は妖狐でよかった〜。」
少年は思う。
自分が犯してきたことは本当にダメなことだなと。
人の命なんて安いもの。
時には世界一つを陥れようとした。
「あーあ。でも、つまんない。単純でおバカな生物ばっかだもん。」
それは夏の終わりのこと。
まだ知らない向こう側の狐の話。
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